もしアパートを建て替えるなら立ち退き交渉はいつから開始すべき?

公開日:2024/10/15  

立ち退き交渉

アパート経営をしているといつかはやってくるのが賃貸物件の建て替えと立ち退き交渉です。円滑に交渉を進めるには、事前の準備と早めの対応が不可欠であり、トラブルを防ぐためにも住人との交渉は慎重におこなうべきです。そこで本記事では、立ち退き交渉をいつから開始すべきか、その適切なタイミングと進め方についてくわしく解説します。

立ち退き交渉の必要性とは?

そもそも、なぜ立ち退き交渉が必要なのかを理解しておくことも大切です。入居者は借地借家法によって保護されています。正当な理由がない限り、オーナーの都合で入居者を立ち退かせることはできません

賃貸借契約書には、オーナーが解約を申し出れば半年前に解約できると記載されている場合が多いですが、これは借地借家法第28条により不利な特約にあたるため無効です。このため、入居者との立ち退き交渉が必要となります。

しかし、現実としてすべてが計画通りに進むとは限りません。入居者への早めの申し出と誠意を持った対応が肝心です。一方的な通達は入居者の反発を招き、話がこじれてしまう恐れがあります。

普段から入居者と良好なコミュニケーションを築いているオーナーならまだしも、立ち退き交渉が初対面となる場合もあるため、とくに慎重な対応が求められます。

立ち退き交渉をスムーズに進めるポイント

アパートの建て替えを考えたとき、最も重要な課題のひとつが入居者との立ち退き交渉です。これをスムーズに進めるためには、入居者に対する誠実な対応が不可欠です。以下に、具体的な立ち退き交渉の進め方と、その際の重要なポイントをまとめました。

立ち退き交渉をスムーズに進める方法

立ち退き交渉をスムーズに進めるために、慎重にコミュニケーションをとりましょう。次の引越し先への準備期間を考慮し、立ち退きまでの期間を明確に設定します。基本的には6か月前の申し入れが一般的ですが、できるだけ余裕をもった期間を設定することが望ましいです。

入居者に安心して準備を進めてもらうためにも、十分な期間を提供しましょう。また、入居者の希望に応じた引越し先情報を提供することも、交渉を円滑に進めるための重要なポイントです。

よい条件の引越し先を提示することで、入居者の不安を和らげ、交渉がスムーズに進む可能性が高まります。さらに、具体的な金額や条件を提示するとより効果的でしょう。

「家賃の6か月分を支払うことを前提に、2か月以内に退去いただける場合は家賃の10か月分を支払う」などといった条件を提示することで、入居者に対して魅力的なオファーを提供できます。具体的な提案は、入居者の不安を軽減し、交渉を迅速に進める助けになります。

立ち退き料の内訳と相場

立ち退き料は、入居者との交渉によって決まるため、明確な基準が存在しませんが、一般的には家賃をベースに提案されることが多いです。具体的には、引越し先の敷金や礼金、仲介手数料、前家賃などの費用が含まれます。

また、引越しそのものにかかる費用や、インターネット回線などの移転費用も考慮されます。さらに、立ち退きによる迷惑料や慰謝料も含めて計算されることが一般的です。

これらの項目を合計すると、立ち退き料はおおむね家賃の6か月分となります。建て替えるほど老朽化したアパートでは、30〜50万円の立ち退き料が相場です。

立ち退きの進め方とスケジュール

入居者が次の住まいを見つけたり、引越しの準備をする猶予をもたせるためにも、立ち退きの交渉は早めに進めるべきです。しかし、具体的にどれくらい前から動けばよいのでしょうか。ここでは立ち退き交渉の進め方とスケジュールの例を紹介します。

解約の申し入れ(6か月前)

立ち退きの通知は、少なくとも6か月前におこなう必要があります。早めに通知することで、入居者に引越しの準備時間を十分に確保してもらえます。通知が遅れると、トラブルの原因になるため、できるだけ早めの対応を心がけましょう。

話し合い・和解(4か月前)

解約の申し入れに対して入居者が納得しない場合は、話し合いが必要です。解約の正当な理由を明確にし、立ち退き料など具体的な条件を提示します。この際、入居者の立場に立ち、誠意をもって対応することが重要です。

転居先の斡旋(3か月前)

し合いがまとまり和解にいたった場合でも、入居者を放っておかず、転居先の斡旋をおこないます。入居者にとって心置きなく過ごせる新しい住まいを見つける手助けをすることで、交渉はさらに円滑になります。

明け渡し

明け渡しの日が来たら、入居者への感謝の気持ちを忘れずに送り出しましょう。これまでの関係に対する感謝を表すことは、最後の信頼関係を築くためにも大切です。

空室率8割のときが建て替えのタイミング!

不動産運営において、建物の建て替えは避けてはとおれません。しかし、この過程で立ち退き対応が必要になるため、スムーズに進めるには計画的な準備が求められます。ここでは、立ち退き対応を減らし、効率的に建て替えをおこなうためのコツを紹介します。

新規入居募集の停止と自然減少

建て替えの時期が決まっている場合、新規の入居募集を停止しましょう。収入は減りますが、自然と入居者が減るのを待つことができ、立ち退き対応の手間を減らすことができます。とくに、建物が古くなり空室率が上がってきた際には、この方法が有効です。

空室率8割のタイミングで建て替え開始

建物が古くなると、家賃を下げても空室がなかなか埋まらなくなります。空室率が5割を超えたあたりで、新規の入居募集を停止し、建て替えの準備を始めるのが理想的です。

そして、空室率が8割に達したタイミングで建て替えに動き出しましょう。この時期であれば、残りの入居者に対する立ち退き交渉も比較的スムーズに進む可能性が高くなります。

まとめ

アパートの建て替えにともなう立ち退き交渉をスムーズに進めるためには、入居者への早期通知、誠実な対応、転居先の斡旋、具体的な提案などが重要です。立ち退き料についても、入居者の負担を軽減するために十分な額を提示することが求められます。これらのポイントを押さえることで、入居者との良好な関係を維持しながら建て替えを進められるでしょう。

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