ペットを無断飼育している入居者にどう対応すればいい?

公開日:2024/06/15  

無断飼育への対処

入居者が無断でペットを飼っている場合、管理会社やオーナーは慎重に対応しなければなりません。ほかの入居者からクレームが入る前に、適切に対応するにはどうすればよいのでしょうか。今回の記事では、ペットを無断飼育を行っている入居者への対応の方法や強制退去の条件などについて解説します。

無断飼育している入居者を強制退去させられる条件は?

入居者との契約は、安定した居住環境を確保するうえで非常に重要です。その中で、入居者が契約書に明記されたルールや規定を守ることは不可欠です。

とくに、ペット飼育に関する条項は、大家や賃貸業者が入居者に対して厳格に取り締まるポイントのひとつです。では、無断でペットを飼育している入居者を強制退去させる条件とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

契約書に明記してあるにもかかわらず破っている

契約書の中には「ペット不可(ペット飼育禁止)」という明確な条文が記載されている場合、入居者はペットの飼育を禁じられていることを理解し、それに従う必要があります。もし入居者がこの条項を無視し、ペットを飼育していた場合、これは明確な契約違反となります。

契約違反が発生した場合、大家や賃貸業者は法的手続きに基づいて入居者に対処することができます。通常、入居者に対して最初に警告を与え、違反行為の是正を求めることが一般的です。しかし、入居者がこれに従わない場合、契約違反に基づき強制退去を要求することができます。

口頭で許可してしまうと強制退去が難しい

ただし、口頭で入居者に「ペットを飼ってもよい」と伝えてしまった場合、事態はやや複雑になります。口頭での合意も法的に有効な契約とみなされることがあるためです(※民法第五百二十二条 二項)。

このため、入居者が一度でもペットを飼育してよいとの口約束を受けた場合、その後の強制退去手続きは難しくなります

無断飼育している入居者への適切な対応とは

ペット不可の物件において、入居者が無断でペットを飼育している場合、その対応には様々な要素が関わってきます。入居者との円滑な関係維持や物件の管理を考慮しつつ、適切な対応を取ることが必要です。

明確な証拠を入手する

まず、無断飼育を行っている入居者を強制退去させるためには、明確な証拠が必要です。目撃証拠や鳴き声の苦情など、単なる疑いではなく確実な証拠を押さえることが重要です。

ただし、知人のペットを一時的に預かっている場合など、一時的な飼育の場合も考慮する必要があります。したがって、明確な証拠を収集することが不可欠です。

発覚したらすぐに対応する

無断飼育が発覚した時点ですぐに対応することも重要です。適切なアプローチを検討し、入居者との話し合いの場を持つことが必要です。入居者とのコミュニケーションを図りながら、問題解決に向けて協力して進めることが望ましいでしょう。

万一のときは法的手続きを検討する

入居者が対応に応じない場合や問題が解決しない場合には、法的手続きを検討する必要があります。契約違反として強制退去を求める場合、証拠の提出や法的手続きの遂行が必要です。しかし、これはあくまで最終手段であり、入居者との円滑な解決を優先するべきです。

ペットに関するルールを明確化する

物件の管理会社やオーナーは、ペット不可の方針を明確にしておくことも重要です。入居者に対してルールや規約を明確に伝え、事前にペットの飼育を禁止することで、無断飼育の発生を防ぐことができます。

近隣住民からのクレームを放置しない

近隣住民からクレームが出ている場合、放置してはいけません。仮に話し合いが進んでいなくても、クレームの放置はNGです。もし無断飼育している入居者との話し合いが進んでいるのなら、その進捗を率直に伝えるとよいでしょう。

下手に隠したりすると信頼関係が崩れてしまい、新たなトラブルに発展したり、空室リスクにつながる恐れがあります。

無断飼育が発覚したときの対応ステップ

ペットの無断飼育は、賃貸住宅における一大問題です。入居者の許可を得ずに動物を飼うことは契約違反であり、周囲の住人にも迷惑をかけることになります。ここでは、無断飼育が発覚した際の対応ステップを紹介します。

まず最初に、無断飼育の事実を確認することが重要です。単に動物を見かけたという情報だけではなく、実際に飼育されているかどうかを入念に調査しましょう。室内点検や入居者との話し合いを通じて、確実な証拠を集めます。

次に、入居者に注意を促し、飼育の停止を求めます。飼育を認めた場合は、手放す意志があるか確認し、明確な手放しの期限を提示します。退去が決定した場合は、原状回復費用の請求を行います。

ペットの臭いや汚損などの原状回復費用は、契約違反をした入居者に負担してもらいます。入居者が交渉に応じない場合は、契約解除通知を内容証明で送付し、提訴して強制執行に移ります。

ただし、強制退去にはコストや時間がかかるため、できる限り話し合いの場で解決を図ることが望ましいです。無断飼育は入居者と管理者双方にとって不利な状況です。早急な対応と適切なコミュニケーションを通じて、問題解決に努めましょう。

まとめ

無断でペットを飼育している入居者を強制退去させるためには、明確な契約書の条項が不可欠です。そして、口頭での合意は避け、すべての取り決めを契約書に明記することが重要です。もし強制退去させるのであれば、明確な証拠と適切な対応が不可欠です。入居者との円滑なコミュニケーションを図りながら、問題解決に向けて努力することが重要です。入居者との円滑な関係を維持しつつも、契約違反が生じた場合には厳正に対処することが、安定した賃貸経営の基本です。

おすすめ関連記事

サイト内検索

【NEW】新着情報

近年、相続した土地の活用や、給与収入以外からの収入経路を確保する手段としてアパート経営を考える方が増えています。本記事では、アパート経営の始め方やメリット・デメリットについて詳しく解説します
続きを読む
土地を持っているけど、どのように活用するか悩んでいるという方、多いのではないでしょうか。実際に不動産投資はハードルが高く、なかなか手が出せない方が多いです。そんな方におすすめなのが、アパート
続きを読む
土地を活用するために、賃貸経営してみたいと考えている方もいるかもしれません。しかし、賃貸管理には、契約や保険、建物のメンテナンスなど、幅広い知識が必要です。自分たちだけで管理する自信がないと
続きを読む
「不動産投資をしてみたいけど、なんだか難しそう…」と感じている方、多いのではないでしょうか?しかし、持っている資産を守るためにも、正しい知識を持って運用していきたいですよね。そこで不動産投資
続きを読む
不動産投資が活発な現在、とくに賃貸アパート経営は初心者にも無理なく始められる事業として注目を集めています。しかし、興味はあっても何から始めてよいのか分からず、前に進めていない人もいるのではな
続きを読む